産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度
マニフェスト」という書類を聞いたことがあると思います。
廃棄物処理法により、産業廃棄物の排出事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その産業廃棄物を委託業者に引き渡すと同時に、産業廃棄物の種類、数量、収集運搬業者又は処分業者の氏名などを記載した産業廃棄物管理票(マニフェスト票)を交付しなければなりません。
産業廃棄物を取扱う際に欠かせない書類です。 この場合、マニフェストは産業廃棄物の種類ごとに交付する必要があります。
また、引渡しに係る産業廃棄物の運搬先が2以上である場合にあっては、運搬先ごとに交付する必要があります。
産業廃棄物の種類(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合にはその旨を含みます)、数量及び受託者の氏名又は名称が管理票に記載された事項と相違がないことを確認の上、交付しなければなりません。
産業廃棄物管理表(マニフェスト)の保存義務
マニフェストの交付者は、その内容を確認し保存しなければなりません。
具体的には以下の定めがありますので、誤って破棄しないよう注意しましょう。
- 当該管理票の写し(A票)を5年間保存しなければなりません。
- 収集運搬業者から運搬終了後10日以内に回付される管理票写し(B2票)の内容をA票と照合して運搬終了を確認し、5年間保存しなければなりません。
- 処分業者から処分終了後10日以内に回付される管理票写し(D票)の内容を、A票・B2票と照合して運搬及び処分終了を確認し、5年間保存しなければなりません。
- 最終処分(再生)終了後に処分業者から回付される管理票写し(E票)の内容を、A票・B2票・D票と照合して最終処分が終了したことを確認し、5年間保存しなければなりません。
マニフェストは処理段階ごとに存在します。
処理段階ごとのマニフェストを保管しておくことで、いつ、どのような処理が行われたのかをいつでも確認することができるようになります。
産業廃棄物管理表(マニフェスト)の運用
具体的なマニフェスト運用の流れは以下の通りです。
STEP.01
排出・委託時
排出事業者は、マニフェスト(7枚複写:A・B1・B2・C1・C2・D票・E票)に必要事項を記入し、交付します。
産業廃棄物の引き渡し時に、収集運搬業者による署名又は押印を得た後、A票を手元に残して残りのマニフェストを収集運搬業者に渡します。
排出事業者はそのA票を5年間保存します。 STEP.02
運搬終了時
収集運搬業者は、残りのマニフェストを産業廃棄物とともに処分業者に渡します。
処分業者は所定欄に記入の上、B1・B2票を収集運搬業者に返却します。
収集運搬業者はB1票を保管し、B2表を排出事業者に送付(10日以内)し、運搬終了を報告します。 STEP.03
中間処理終了時
処分業者は、処分終了後にマニフェストの所定欄に署名し、収集運搬業者にC2票を、排出事業者にD票(最終処分の場合はE票も)を送付(10日以内)し、C1票は自ら保存します。
処分(中間処理)業者は受託した産業廃棄物を中間処理した残さ(中間処理産業廃棄物)の最終処分が終了するまでE票を保管します。 STEP.04
最終処分終了時
処分業者は、自ら交付したマニフェスト(2次マニフェスト)等により最終処分の終了を確認し、保管していた排出事業者のE票に最終処分年月日、最終処分の場所を記入の上、排出事業者に返送(10日以内)します。
返送されたマニフェストの確認及び保存 STEP.05
排出事業者による確認
排出事業者は、A票と収集運搬業者、処分業者から戻ってきたB2票、D票、E票を照合し、適正であることを確認しなければなりません。
また、排出事業者及び処理・処分業者は、マニフェスト伝票を5年間保存しなければなりません。 STEP.05
その後
マニフェストの交付者は、毎年6月30日までにその年の3月31日以前の1年間において交付した管理票の交付等の状況に関する報告書を作成し、事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければなりません。
マニフェストの交付義務や記載義務等を怠った場合、排出事業者には1年以下の懲役又は1100万円以下の罰金、処理業者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金や業務停止といった行政処分が科せられます。マニフェストの運用は「法律上の義務」なのです。
尚、一定の場合には交付を要しませんが、あくまで例外となります。
例えば廃油処理事業を行う港湾管理者又は漁港管理者に廃油の処理を委託する場合や、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬又は処分を業として行う者にその産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合などが例外にあたります。
再生利用認定業者・指定業者にその認定・指定に係る産業廃棄物の処理を委託する場合やそもそも紙ベースではなく「電子マニフェスト制度」を利用する場合も交付は不要です。 産業廃棄物管理表(マニフェスト)の運用
マニフェスト制度においては、排出事業者は紙の管理票による制度のほか、Webシステムを使用する電子マニフェストを利用できます。
電子マニフェストを利用した場合、紙の管理票を交付し管理票の写しを保存する必要がありません。
また、パソコンや携帯電話で簡単に操作できる、マニフェスト票の法定項目の記載漏れがない、偽造される危険性が少ないなどのメリットがあります。
平成31年4月1日から、前々年度の特別管理産業廃棄物(廃PCB、PCB汚染物及びPCB 処理物(以下「PCB廃棄物等」という。)を除く。)の発生量が50トン以上の事業場を設置する事業者が当該事業場から生ずる特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物等を除く。)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、電子マニフェストの使用が義務づけられました。
排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が加入することを条件に、日本産業廃棄物処理振興センターの「電子マニフェスト」を利用することができます。
電子マニフェスト利用には以下のメリットがあると言えます。マニフェストの確認によるメリット
運搬終了、処分終了、最終処分終了報告の有無を電子メールや一覧表等で確実に確認できます。また終了報告の確認期限が近づいたことを排出事業者に注意喚起する機能があり、確認漏れを防ぎます。マニフェスト保存によるメリット
マニフェスト情報の保存は、情報処理センターが行いますので、事業者の負担が軽減されます。マニフェスト交付状況報告に関するメリット
マニフェスト情報の年度報告は情報処理センターが行いますので、事業者の負担が軽減されます。