産業廃棄物処理施設とは
産業廃棄物処理施設は、持ち込まれた産業廃棄物を焼却したり、細かく砕いたり、埋め立てするなど、産業廃棄物を処理する廃棄物処理法や都道府県の条例で定められた施設を言います。一般的に「中間処理施設」や「最終処分場」と呼ばれています。
周辺環境に直結する施設であるため、その設置には都道府県知事の許可が必要で、許可を取得するまでには長い時間と厳しい基準をクリアしなければなりません。
この対応ができる行政書士は少ないですが、弊社は開業当初から産業廃棄物処理施設の設置許可を手がけております。
産業廃棄物処理施設を設置する際には、廃棄物処理法に根拠を有する設置許可申請や各自治体独自の事前協議等以外にも様々な手続きが発生します。
産業廃棄物処理施設の種類
産業廃棄物処理施設はその処理方法によって様々な施設が存在します。
破砕機などは各種メーカーが型式を揃えていることが多いですが、焼却施設等はオーダー性ですし最終処分場は土地の開発を含めた一大プロジェクトとなります。
産業廃棄物処理施設種類 | 設備 |
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脱水施設 | 脱水機 |
乾燥施設 | 乾燥設備 |
焼却施設 | 燃焼室 |
油水分離施設 | 油水分離設備 |
中和施設 | 中和槽 |
破砕施設 | 破砕機 |
コンクリート固型化施設 | 混練設備 |
ばい焼施設 | ばい焼室 |
シアン分解施設 | 熱分解設備又は分解槽 |
石綿溶融施設 | 溶融炉又は破砕設備 |
PCB分解施設 | 反応設備 |
PCB洗浄・分離施設 | 洗浄設備又は分離設備 |
遮断型最終処分場 | 外周仕切設備 |
安定型最終処分場 | 擁壁又はえん堤 |
管理型最終処分場 | 遮水層又は擁壁若しくはえん堤 |
また、その「処理能力」や「処理方法」によって、必要な許可の種類が異なるという点も複雑さを増しています。
例えば木くず又はがれき類、廃プラスチック類の破砕施設に関しては1日5トンを超える処理能力を有する場合には廃棄物処理法上の許可が必要ですが、5トン以下であれば許可が不要(ただし都道府県の条例の許可が必要な場合もありますし、施設としての許可は不要でも「業」の許可は必要です)ですし、焼却施設でも焼却能力によって必要な許可の内容が変わります。
産業廃棄物処理施設設置の流れ
以下は宮城県における手続きの流れです。各都道府県で異なりますが、概ね似たようなものとご理解ください。
産業廃棄物処理施設の技術上・維持管理の基準
産業廃棄物処理施設は技術上の基準に従ったものでなければなりません。
また、産業廃棄物処理施設の設置者は、維持管理基準に従った維持管理をしなければなりません。
以下は最終処分場を除く産業廃棄物処理施設の構造基準、維持管理基準の各施設共通の基準です。なお、この他に施設の種類ごとに個別基準が定められていますし、都道府県独自の基準もありますので、詳細は弊社までご相談ください。
産業廃棄物処理施設の技術上の基準
共通基準
- 自重、積載荷重その他の荷重、地震力及び温度応力に対して構造耐力上安全であること。
- 産業廃棄物、産業廃棄物の処理に伴い生ずる排ガス及び排水、施設において使用する薬剤による腐食を防止するために必要な措置が講じられていること。
- 産業廃棄物の飛散及び流出並びに悪臭の発散を防止するために必要な構造のものであり又は必要な設備が設けられていること。
- 著しい騒音及び振動を発生し、周囲の生活環境を損なわないものであること。
- 施設から排水を放流する場合は、その水質を生活環境保全上の支障が生じないものとするために必要な排水処理設備が設けられていること。
- 産業廃棄物の受入設備及び処理された産業廃棄物の貯留設備は、施設の処理能力に応じ、十分な容量を有するものであること。
産業廃棄物処理施設の維持管理基準
共通基準
- 受け入れる産業廃棄物の種類及び量が当該施設の処理能力に見合った適正なものとなるよう、受け入れる際に、必要な当該産業廃棄物の性状の分析又は計量を行うこと。
- 施設への産業廃棄物の投入は、当該施設の処理能力を超えないように行うこと。
- 産業廃棄物が施設から流出する等の異常な事態が生じたときは、直ちに施設の運転を停止し、流出した産業廃棄物の回収その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずること。
- 施設の正常な機能を維持するため、定期的に施設の点検及び機能検査を行うこと。
- 産業廃棄物の飛散及び流出並びに悪臭の発散を防止するために必要な措置を講ずること。
- 蚊、はえ等の発生の防止に努め、構内の清潔を保持すること。
- 著しい騒音及び振動の発生により周囲の生活環境を損なわないように必要な措置を講ずること。
- 施設から排水を放流する場合は、その水質を生活環境保全上の支障が生じないものとするとともに、定期的に放流水の水質検査を行うこと。
- 施設の維持管理に関する点検、検査その他の措置の記録を作成し、3年間保存すること。