この記事で分かること
- 廃棄物処理法上の『廃棄物』とは、自分で使えず、他人にも有償で売却できないために不要になった物のこと
- 廃棄物か『有価物』(売却できる価値ある物)かによって、廃棄物処理法の規制対象になるかどうかが変わる
- 有価物かどうかは、①性状②排出状況③通常の取扱状況④取引価値の有無⑤占有者の意思、という5つの基準で総合的に判断される
- 『1円で買い取ってもらったから有価物』という単純な理屈は通用しない
「廃棄物」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「廃棄物」という言葉には、どうしてもネガティブなイメージがつきまといます。ニュースや新聞で「廃棄物」が取り上げられるときは、不法投棄や処理施設の事故など、事件・環境破壊と結びつけられることがほとんどだからです。
しかし実際には、日本国内で最終的に処分される産業廃棄物の量は、産業廃棄物発生量全体の5%以下と言われています。逆に、約50%は再生利用されているのが実情です。『廃棄物=捨てるしかないゴミ』という面がある一方で、『再生利用できる価値のあるもの』という側面の方が、実は圧倒的に大きいのです。
法律上の「廃棄物」の定義
廃棄物処理法第2条第1項では、廃棄物を次のように定義しています。
「廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)をいう。」
整理すると、廃棄物は「①固形状の汚物」「②液状の汚物」「③固形状の不要物」「④液状の不要物」のいずれかに当てはまるもの、ということになります。「汚物」はなんとなくイメージがつきますが、問題は「不要物」です。同じ物でも、見る人の状況や価値観によって「不要物」にも「価値のある物」にもなり得るからです。
このうち「価値のある物」を一般的に「有価物」と呼んでいます。
なぜ「不要物か否か」が重要なのか
「不要物か否か」の判断は、廃棄物処理法によって規制されるかどうかの分かれ目になります。もし明確な判断基準がなければ、「自分にとって価値のある物(有価物)だから不要物ではない、だから廃棄物ではない、だから廃棄物処理法は関係ない」という、恣意的な理屈がまかり通ってしまいます。
そこで実務上は、次の5つの基準をもとに、総合的に判断することになっています。
有価物かどうかを判断する5つの基準
- その物の性状
- 有害性や悪臭など、生活環境保全上の支障となる要素がないか
- 排出された状況
- 計画的に排出されたものか、適切に保管・品質管理されているか
- 通常の取扱状況
- 製品として市場が形成されており、廃棄物として処理される事例が通常見られないか
- 取引価値の有無
- <実際に売却でき、経済合理性のある取引かどうか/li>
- 占有者の意思
- 占有者が自ら利用する、または他人に有償で譲渡する意思を持っているか
「有価物」(廃棄物ではなく、他人に買い取ってもらえる価値ある物)と判断されれば、廃棄物処理法の規制対象から外れます。委託契約書やマニフェストも不要になり、「産業廃棄物処理業」の許可も必要ありません。
「1円でも買い取ってもらえれば有価物」は通用しない
ここでよくある誤解が、「1円で買い取ってもらったのだから有価物だ」という理屈です。
確かに、当事者間で1円という値段がついたこと自体は、取引価値があると判断される材料の1つにはなり得ます。しかし、1円での取引を継続してビジネスとして成り立たせられるでしょうか。その物を運ぶ運賃や保管費用は誰が負担するのでしょうか。1円という売却価格を得るために、それ以上の費用を負担しているとすれば、それは実質的に「お金を払って引き取ってもらっている」のと変わりません。
ある物が廃棄物か有価物か分からない場合に、自己判断で「有価物」と決めつけてしまうのは非常に危険です。もしそれが実際には廃棄物だった場合、許可を得ずに収集運搬・処分を行った行為はすべて廃棄物処理法違反に問われます。

金属・プラスチックは話が別
これまでは、金属スクラップなどが売却可能な「有価物」と判断される場合、原則として廃棄物処理法による直接的な規制を受けないことがありましたが、2026年の廃掃法改正で、法施行後は、廃棄物に該当しない物品であっても、一定の使用済み金属・プラスチック物品を業として保管・再生する場合には、都道府県知事等の許可が必要になりました。
つまり、廃棄物ではない金属・プラスチック物品であっても、廃棄物と同等の取扱いを求められる場合があるということです。
大きな法改正ですので、注視しましょう。
よくある失敗・注意点
① 見た目や思い込みだけで『有価物だから許可不要』と判断してしまう
取引価格がついているというだけで安心し、5つの基準を確認しないまま『有価物』として扱ってしまうケースがあります。後になって廃棄物と判断されると、無許可営業として厳しい罰則の対象になりかねません。
② 契約書上は『売買』でも、実態が『処理委託』になっている
書類上は売買契約の形を取っていても、実質的には処理費用を支払って引き取ってもらっているだけ、というケースがあります。書類の形式だけでなく、実態としての経済合理性が伴っているかを確認する必要があります。
よくあるご質問
Q. 売却できれば、金額に関わらず有価物になりますか?
A.金額だけで判断されるわけではありません。性状、排出状況、通常の取扱状況、取引価値の有無、占有者の意思という5つの基準から総合的に判断されます。
Q. 自社の物が廃棄物か有価物か分かりません。相談できますか?
A.可能です。実際の取引状況や契約内容を踏まえて、該当性の判断からサポートいたします。
Q. 有価物だと分かれば、許可は一切不要ですか?
A.廃棄物処理法上の規制は不要になりますが、他の法令(古物営業法等)が関係する場合もあります。
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まとめ|迷ったら自己判断せず確認を
『廃棄物』か『有価物』かの判断は、廃棄物処理法が適用されるかどうかを左右する重要な入口です。取引価格がついているからといって安心せず、5つの基準に照らして判断に迷う場合は、無許可営業のリスクを避けるためにも、早めにご相談ください。
執筆者・監修者情報

方波見 泰造(かたばみ たいぞう)
ハイフィールド行政書士法人 代表社員
所属
宮城県行政書士会
専門分野
産業廃棄物許可
主な取扱業務
産業廃棄物処理施設設置許可申請
産業廃棄物処分業許可申請
産業廃棄物収集運搬業許可申請
更新許可・変更許可・変更届
産廃関係許認可顧問






