中間処理とは
中間処理とは、産業廃棄物を細かく砕いたり、焼却して無害化したりする事業です。
最終処分の前段階として行われる処理であるため、「中間処理」と呼ばれています。
中間処理を行う場合、「焼却」を行うなら焼却炉が必要ですし、「破砕」なら破砕機、「溶融」ならプラスチック等を溶融する施設等が必要です。
このような施設は、それを設置することによる周辺の生活環境への影響を考えなければなりません。
どのような性能の施設でも、自由にどこでも設置できるとすれば、粉じんや悪臭、有害物質をまき散らすことにもなりかねません。
そこで、一定の規模以上の産業廃棄物処理施設を設置する場合には、計画の段階から自治体との事前協議、周辺住民への説明会を実施させ、そのような事前手続を完了してから施設の設置許可申請を義務付けるという、厳重な手続が採られています。
つまり、産業廃棄物処分業を行う場合には、一定規模以下の施設を使用する場合を除き、「産業廃棄物処理施設設置許可」と「産業廃棄物処分業許可」の2つが必要となるわけです。許可が必要な産業廃棄物処理施設
一定規模以上の産業廃棄物処理施設を設置する場合は、自治体の設置許可が必要となります。
法律上定められた
「許可が必要な施設」は、以下のとおりです。
施設の構造
- 汚泥の脱水施設であって、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの
- 汚泥の乾燥施設であって、一日当たりの処理能力が十立法メートル(天日乾燥施設にあっては百立法メートル)を超えるもの
- 汚泥(PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの
イ:一日当たりの処理能力が五立方メートルを超えるもの
ロ:一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
ハ:火格子面積が二平方メートル以上のもの - 廃油の油水分離施設であって、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律で定める廃油処理施設を除く)
- 廃油(廃PCB等を除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律で定める廃油処理施設を除く)
イ:一日当たりの処理能力が一立方メートルを超えるもの
ロ:一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
ハ:火格子面積が二平方メートル以上のもの - 廃酸又は廃アルカリの中和施設であって、一日当たりの処理能力が五十立方メートルを超えるもの
- 廃プラスチック類の破砕施設であって、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの
- 廃プラスチック類(PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの
イ:一日当たりの処理能力が百キログラムを超えるもの
ロ:火格子面積が二平方メートル以上のもの - 木くず(建設業に係るもの:工作物の新築、改築又は除去に伴って発生したものに限る)木材または木製品の製造業、パルプ製造 業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通の為に使用したパレットに係るもの等)がれき類の破砕施設であって、一日当たりの処理能力が五 トンを超えるもの
- 水銀又はその化合物等の一定の物質又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固形化施設
- 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設
- 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設
- 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
- 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設
- 廃PCB等(PCB汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたPCBを含む)又はPCB処理物の分解施設
- 産業廃棄物の焼却施設(③⑤⑧⑭を除く)であって、次のいずれかに該当するもの
イ:一日当たりの処理能力が百キログラムを超えるもの
ロ:火格子面積が二平方メートル以上のもの - 産業廃棄物の最終処分場であって、次に掲げるもの
イ:燃え殻、ばいじん、汚泥等一定の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所
ロ:安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地を除く)
ハ:イに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地にあっては、主としてイに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋め立て処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る)
産業廃棄物処理施設設置の流れ
特に、事前手続に関しては、各自治体によって異なっているのが実情です。
産業廃棄物処理施設を稼働させるまでには、以下のような流れとなるのが一般的ですが、自治体によって順番が前後したり、更に別の手続きがあったり、様々なケースが考えられますのでご注意下さい。①自治体窓口への事前相談
まずは、自治体に「産業廃棄物処理施設を設置したい」という意思表示をします。
この時点で、少なくとも「どこに設置するか」「何を処理するか」などは明らかにしておいたほうが良いでしょう。
相談される自治体としても、ある程度具体的な相談でなければ、方向性を示しようがないからです。②具体的な施設設置計画策定
自治体の意見を聞きながら、具体的な設置計画を策定します。
立地について都市計画法上必要な手続きはないか、施設によっては建築基準法上の必要な手続きはないかなど、広い範囲の検討が必要となります。③生活環境影響調査
騒音、振動、粉じん、悪臭、大気汚染、水質汚濁等について、原状の把握した上で施設を設置した場合の予測値を想定します。
その結果、生活環境上の影響が発生しそうな場合は、その防止策を策定しなければなりません。④住民説明会
近隣住民に対し、産業廃棄物処理施設の設置を説明します。
自治体によっては、同意書等も求められる場合もあります。
説明会の結果も、自治体に報告する必要があります。⑤協議内容の公表、縦覧
自治体のホームページなどで、「産業廃棄物処理施設を設置する為の事前協議が行われている」という事実を公表する自治体も多くなっています。⑥産業廃棄物処理施設設置許可申請
自治体で定められた事前手続きが全て完了して、初めて設置許可申請となります。
必要書類を作成し、申請を行い、許可が出たあとに「使用前検査」等が行われるのが一般的です⑦産業廃棄物処分業許可申請
産業廃棄物処理施設設置許可は、分かりやすく言えば「産廃の施設を設置していいですよ」という許可です。
あくまで「設置していいですよ」なので、「動かして営業していいですよ」という許可ではありません。
産業廃棄物処分業許可を得て、初めて「動かして営業していいですよ」となる訳です。産業廃棄物処理施設設置許可申請に必要な書類
- 許可申請書
- 処理施設の構造を明らかにする設計計算書
- 事業計画書
- 施設配置図
- 施設の平面図、立面図、断面図、構造図
- 最終処分場の周囲の地形、地質、地下水の状況を明らかにする書面と図面
- 最終処分場以外の施設にあっては処理工程図
- 処理施設の付近の見取り図
- 産業廃棄物搬入搬出経路図
- 公図の写し
- 設置場所の土地登記事項証明書
- 処理施設の設置、維持管理に関する技術的能力を説明する書類
- 処理施設の設置、維持管理に要する資金の総額、資金調達方法を記載した書類
- 法人の場合は直前3年分の貸借対照表、損益計算書、個別注記表及び株主資本等変動計算書
- 法人の場合は直前3年分の法人税納税証明書
- 個人の場合は資産に関する調書と納税証明書
- 法人の場合は定款又は寄付行為の写し
- 法人の場合は商業登記簿謄本(履歴事項証明書)
- 法人の場合は役員、出資者、使用人(本店又は支店の代表者)の住民票
- 法人の場合は役員、出資者、使用人(本店又は支店の代表者)の登記されていないことの証明書
- 個人の場合は住民票の写し
- 個人の場合は登記されていないことの証明書
- 申請者が欠格要件に該当しない者であることを誓約する書面
- 申請内容に関して他の法令による規制がある場合は、その規制に適合することを証する書類
- その他知事が必要と認める書類及び図面