「選別施設」は、産業廃棄物処理施設としては混合された状態の各種の産業廃棄物を品目ごとに分けるための施設としての役割を果たします。
「選別」行為自体は収集運搬業の延長線上たる積替え保管施設において行われる手選別のような簡単なものもありますが、産業廃棄物処理施設としての選別は破砕等の本格的な処理の前段階・前処理と言えます。
選別処理の目的
一般的に各種の産業廃棄物が事業場から排出される場合、例えば建設解体工事現場等からはがれき類、木くず、廃プラスチック類や紙くず等が単体として綺麗に排出されるわけではありません。まとまった一体の形状、言ってみればごちゃ混ぜの状態で排出される場合が殆どではないでしょうか。
家屋を解体した際にばらした襖やドア等は、その本体は木くずと紙くず、ドアノブ等は金属くずとして排出されます。
石膏ボードも紙くずと陶磁器くずの混合物です。
このように家屋解体の場面では混合された状態の産業廃棄物が排出されるケースが一般的と言えます。
産業廃棄物を適切に処理してリサイクルを進めるためには、産業廃棄物の種類ごとに分別・選別を行う必要があるのです。選別によって、産業廃棄物の中から再利用できるものを抽出することも可能となります。
選別施設の種類
選別施設はどのような種類があるのでしょうか。
大別すると、水を利用して選別処理を行う「湿式選別機」、湿式選別機ほどではなく若干の加湿を加える「半湿式選別機」、それら以外の「乾式選別機」に分けることができます。
廃プラスチック類や紙くず等の選別に使用されるのが湿式選別機、半湿式選別機です。乾式選別機は更に、「風力選別機」「トロンメル」「磁力選別機」等の種類があります。
選別施設の種類1 風力選別機
風力選別機は、廃棄物を効率的に分別するために使用される施設です。
主に風の力を利用して廃棄物を選別します。この選別方法では、風をかけることで廃棄物の比重や形状の違いを活用し、異なる特性を持つ物質を効率的に分離します。重い廃棄物は風が当たっても遠くまで飛ばされることはなく、すぐに手前で落下する一方で、軽い廃棄物は風に乗って遠くまで飛ばされ、自然と異なる場所に集まります。これにより、さまざまな廃棄物を効果的に選別することが可能です。
風力選別機の種類
風力選別機には大きく分けて2種類のタイプが存在します。それぞれの特徴を理解し、廃棄物の特性や処理量に応じて適切な選別機を選ぶことが重要です。
竪型風力選別機
竪型の風力選別機は、非常に高精度な選別を行うことができるという大きな特徴を持っています。このタイプは、廃棄物を細かく分別する必要がある場合に非常に効果的です。例えば、素材の再利用を目指すリサイクルプロセスにおいて、異なる成分を細かく分類する際に特に適しています。ただし、その高精度な選別に伴い、処理できる廃棄物の量は限られるため、少量の廃棄物を対象としたプロジェクトや、小規模施設での使用が向いています。
横型風力選別機
一方、横型の風力選別機は、大量の廃棄物を一度に処理する能力に優れています。多種類の廃棄物が混在する状況下でも、一度に選別を行うことができるため、大規模なリサイクル施設や廃棄物処理場で広く使用されています。ただし、選別の精度は竪型に比べてやや劣るため、細かい分別が求められる場面では適さない場合があります。大量処理を優先する場合に最適な選別機です。
風力選別機の選び方
風力選別機を導入する際には、処理する廃棄物の量や種類、求められる選別精度を考慮することが重要です。
選別施設の種類2 トロンメル
トロンメルは、ふるいに大きさが異なる穴を開けた円筒形のふるい機です。
破砕をした後の廃棄物を大きさごとに選別したいような場合によく用いられます。
具体的には、円筒形のふるい機であり、その表面には大きさが異なる穴が無数に開けられています。この構造により、トロンメルは廃棄物を大きさごとに効率的に選別することができ、特に破砕後の廃棄物処理に広く活用されています。本記事では、トロンメルの機能や選別のプロセスについて詳しく解説し、リサイクル施設における役割について説明します。
トロンメルの構造と動作原理
トロンメルは、円筒形の回転式ふるい機として設計されています。この円筒の外壁には、さまざまな大きさの穴が開いており、廃棄物が円筒内を通過する際に、その大きさに応じて穴から選別されていきます。穴の大きさによって、小さい物は早い段階でふるい落とされ、大きい物はさらに奥まで移動し、最終的に適切なサイズに分類される仕組みです。
トロンメルの動作は非常にシンプルですが、その選別の正確さと効率性は非常に高く、リサイクルプロセスにおいて重要な役割を果たします。特に廃棄物が破砕された後、そのサイズに応じた処理が求められる場合に、トロンメルが威力を発揮します。
トロンメルの利用シーン
トロンメルは、さまざまなリサイクル施設や廃棄物処理施設で使用されています。
その主な用途は、破砕された廃棄物を粒度に応じて分類することです。例えば、建設現場で発生するコンクリートや木材の破砕物、家庭ごみのリサイクル処理など、トロンメルは幅広い分野で活用されています。
さらに、トロンメルは廃棄物だけでなく、鉱業や農業の分野でも利用されています。鉱業では、鉱石をサイズごとに分類し、適切な処理を行うために使用され、農業では、肥料や土壌改良材の粒度を調整する際に利用されています。
トロンメルの利点
トロンメルの主な利点は、そのシンプルな構造による高い耐久性と、比較的低コストでの運用が可能である点です。また、さまざまなサイズのふるいをカスタマイズすることができるため、特定のニーズに応じた選別作業が可能です。
さらに、トロンメルはメンテナンスが比較的容易であり、日常的な運用においても大規模な設備投資を必要としません。これにより、リサイクル施設や中小規模の処理場でも導入しやすく、多様な用途に対応できる柔軟性を持っています。
トロンメル導入のポイント
トロンメルを導入する際には、処理する廃棄物の種類や量に応じて最適なサイズや仕様を選ぶことが重要です。例えば、大型の廃棄物を主に処理する施設では、大きめの穴を持つトロンメルが適していますが、細かい粒度の物質を処理する場合には、小さな穴のトロンメルが適しています。また、定期的なメンテナンスを行うことで、長期にわたって安定した運用が可能です。
トロンメルは、そのシンプルな構造と高い効率性により、リサイクル施設や廃棄物処理場で広く活用されています。破砕された廃棄物をサイズごとに正確に選別することで、リサイクルのプロセスをスムーズに進めることができる重要な
装置です。導入時には、処理対象や運用規模に応じた適切な仕様を選ぶことが求められます。
選別施設の種類3 磁力選別機
磁力選別機は、特に鉄・金属を含む廃棄物の選別に活用されています。この選別機は、強力な磁力を利用して廃棄物の中から鉄を効率的に回収し、鉄を含む物質を他の廃棄物と分離することが可能です。リサイクル施設では、鉄分が他の素材と混在した廃棄物を適切に分別することで、鉄を再利用可能な状態にし、廃棄物処理の効率を高めることができます。
磁力選別機の利用とメリット
磁力選別機は、特に鉄の回収を目的とする廃棄物処理の現場で広く使用されています。鉄は多くの製品や建材に含まれているため、リサイクルプロセスの初期段階で効率的に鉄を回収することは、後の処理工程をスムーズに進めるためにも重要です。この機械が活用されることにより、鉄を含む廃棄物が破砕される前に選別されるため、破砕機の摩耗を防ぐ効果も期待できます。
特に、破砕機に鉄が混入した状態で稼働すると、破砕機の刃が著しく損傷し、機械の寿命が短くなる可能性があります。これを防ぐため、磁力選別機は破砕機と組み合わせて使われることが多く、効率的な選別と機械の保護を両立する役割を担っています。
磁力選別機の導入場面
磁力選別機は、廃棄物処理施設やリサイクル施設などでの導入が一般的です。廃棄物の処理工程において、鉄を効率的に取り除くことで、その後の処理プロセスが円滑に進行します。例えば、廃棄物に含まれる鉄を早い段階で取り除くことで、他のリサイクル素材(プラスチックやガラスなど)の汚染を防ぐことができ、純度の高い再利用資源の確保が可能になります。
また、磁力選別機は金属リサイクルの現場でも重宝されており、鉄の再利用を促進するために多くの施設で導入されています。鉄を含む廃棄物を適切に分別することで、環境負荷の軽減や資源の有効活用が期待でき、リサイクルの効率を大幅に向上させることができます。
磁力選別機のメンテナンスと運用
磁力選別機は、その機能を維持するために定期的なメンテナンスが必要です。特に磁力の強さや選別機の機械部分に不具合が生じると、廃棄物の選別効率が低下し、鉄分の回収が不完全になる可能性があります。したがって、運用する施設では、定期的な点検やメンテナンススケジュールを組むことが重要です。
また、選別機自体の設置場所や使用環境も選別効率に影響を与えるため、設置時には廃棄物の流れや磁力の作用範囲を考慮することが求められます。磁力選別機の正しい使い方を理解し、効率的な運用を心がけることで、廃棄物処理プロセス全体の生産性を向上させることができます。
磁力選別機導入のポイント
磁力選別機を導入する際には、取り扱う廃棄物の特性や処理の目的に合わせて機械を選ぶことが重要です。例えば、大量の廃棄物を一度に処理する場合には、大規模な磁力選別機が必要になることもありますし、特定の素材のみを選別する場合には、その用途に適した選別機が推奨されます。また、破砕機との組み合わせによって、全体の処理効率をさらに向上させることが可能です。
磁力選別機は、リサイクル施設において鉄を効率的に回収し、廃棄物処理の精度とスピードを向上させるために欠かせない装置です。鉄を含む廃棄物が破砕機を傷つけるのを防ぐ役割も果たしており、破砕機との組み合わせで使用されることが多く見られます。鉄を効率的に選別し、リサイクルプロセスを最適化するためには、磁力選別機の導入と運用が不可欠です。
いかがでしたでしょうか。
選別施設は用途に応じ様々な種類があります。
行政書士として、産業廃棄物処理施設設置許可申請や、リサイクル施設の設立を
お手伝いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。