産業廃棄物としての「汚泥」は、土木工事で発生するものから工場廃水等の処理後に残る泥状のもの、各種製造業の製造工程において生ずる泥状のもの、ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く。)カーバイドかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥など、業種制限がないことから様々な工程で発生します。
一般的には含水率が高いケースが多く、水分を大量に含んでいます。
汚泥の脱水施設においてはこのような水分を含んだ汚泥を「脱水機」を用いて脱水処理をすることによって、汚泥の重量や容量を大幅に削減します。
代表的な脱水機としては加圧脱水機と遠心脱水機があります。
産業廃棄物処理施設としての「脱水」
一般的に汚泥は水分を大量に含んでいます。
そのため発生したときの状態のままの汚泥では、保管や運搬をすることも難しい状態です。
焼却や埋め立てを行うとしても、そのままでは多額の費用がかかります。
そのため、乾燥や脱水などを行い、汚泥内の水分を飛ばす処理が必要となります。
汚泥を可能な限り濃縮・脱水して汚泥の「嵩」を減らすことで、処分費や環境負荷を削減す
るのが汚泥濃縮機や汚泥脱水機の大きな役割と言えます。
汚泥脱水機は汚泥を固体と液体に分離することで嵩を減らすだけではなく、脱水後の汚泥
形状がケーキ状(いわゆる脱水ケーキ)になるため、その後の運搬取扱いや処分を容易にす
ることができます。
このように脱水処理の工程を経ることで、汚泥の水分を飛ばすと、汚泥の重量と容量を減少
させることが可能になるのです。
脱水機の種類
汚泥の脱水施設として使用されている脱水機は、大きく分けて「加圧脱水機」と「遠心脱水機」が挙げられます。
加圧脱水機は汚泥に圧力をかけることによって脱水を行う施設であり、別にフィルタープレスとも呼ばれることもあります。
加圧脱水機は更に「単式加圧脱水機」と「複式加圧脱水機」に区分されます。
1.単式加圧脱水機
単式加圧脱水機は、汚泥から水分をろ過するための「フィルター」を取り付けた設備のみで、
脱水処理を行う主要設備である「ろ室」を構成しています。
ろ室内で汚泥に対する圧力をかけ、汚泥を、「ろ液(ろ過された水分)」と、脱水ケーキ(脱
水後に残る固形状の残さ)に分離することができます。
2.複式加圧脱水機
複式加圧脱水機は、ろ室の構成がろ板と、脱水ケーキを形成しやすくするための「ろ枠」が組み合わさっている施設です。
複式加圧脱水機の場合は、ろ枠によって脱水ケーキを一定の形に形成しやすいため、単式加圧脱水機と比べ脱水ケーキの取り出しが容易になっているようです。
しかしながら、汚泥によってはろ布に対して付着しやすいものもあり、ろ過しようとしても、ろ布のふるいの目が塞がってしまうことで効率的な脱水処理ができない場合があります。
このような汚泥の場合は、液と固形分の比重の差によって脱水処理を、次の「遠心脱水機」が使用されます。
3.遠心脱水機
遠心脱水機は、汚泥に遠心力をかけて、汚泥の液体分と固体分を分離する施設です。
高速回転するドラム内に汚泥を投入し、遠心力によってドラムの内側に汚泥の固形分だけを付着させて汚泥の固形分と液体を別々に排出させるという方法で脱水処理を行います。
脱水施設についてもその処理能力によって手続きの重さが変わってくるのが特徴です。
汚泥の脱水施設であって1日あたりの処理能力が10立方メートルを超える脱水施設に関しては産業廃棄物処理施設設置許可申請が必要で、それ以下の処理能力の場合は自治体にもよりますが許可不要な場合もあります(あくまで「許可」が不要というだけであり、自治体の定めた手続きは必要ですので注意してください。)
ちなみに脱水施設と似たものに汚泥の「乾燥施設」もありますが、この場合も基準は「1日あたるの処理能力が10立方メートル」とされています。天日乾燥施設では100立方メートルです。